「優秀作品賞」 (準グランプリ) |
アガリスクエンターテイメント『出会わなければよかったふたり』 |
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「最優秀演出賞」 | 吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎) |
「優秀演出賞」 | 細川博司(バンタムクラスステージ) |
「最優秀脚本賞」 | 冨坂友(アガリスクエンターテイメント) |
「優秀脚本賞」 | 吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎) |
「最優秀俳優賞」 | わかばやしめぐみ(おぼんろ ウド役) |
「優秀俳優賞」 (五十音) |
上杉逸平(バンタムクラスステージ 森ノ屋泉岳役) 末原拓馬(おぼんろ グギャ役) 土屋兼久(バンタムクラスステージ マネージャー役) CR岡本物語(PMC野郎 塩麹宗肉役) |
「鈴木聡賞」 | 土屋兼久(バンタムクラスステージ マネージャー役) |
「西田シャトナー賞」 | 伊藤亜斗武(ゲキバカ) |
「こりっち手塚賞」 | 新原美波(ゲキバカ ミク役) 日高ゆい(8割世界 トモちゃん役) |
「高校生審査員賞」 | ポップンマッシュルームチキン野郎 |
「観客賞」 | ポップンマッシュルームチキン野郎 |
新井久子BS日テレ
「黄金のコメフェス2014」は、どの日のどの回も客席はほぼ満席状態…という盛況ぶり。出場劇団の求心力と、現場スタッフの陰の力、たくさんの熱意でさらに前へ進んだことを感じました。6劇団の作品はどれも力作!昨年の6作品も記憶に残っていますが、ゼロからの第一歩だった昨年があっての今回、さらに高いレベルのフェスになったと思います。
各劇団の作品は数回ずつ拝見させていただき、10日間のなかで進化していく様や、客席のお客様の温度でも日ごとに芝居のエンジンのかかり方が違う、など、内側と外側から注がれる複合的なもので芝居のかたちが作られ変化することを目の当たりにして、つくづく〝舞台は生きもの〟とそんな部分も楽しみました。
「コメディ」と言っても正解は無数にあって、声に出して笑ってしまうもの、心の中でクスクスとツボに刺さってくるもの、読後感が愉しいもの、一概にコレとは言えず、そんな意味では6作品とも各々の世界観を持った素敵な45分間で、何回観ても都度楽しむことができました。
・・・ですが、敢えて個人的な意見も少しだけ。皆、全編を通して優しい作品が多かった…ですね。例えば、理不尽とか、油断も隙もない曲者登場とか、ひねくれて物事を斜めに見るとか、ニッチな部分に特化するとか、そんな予想外のことに驚かされることは少なく、そういう作品は好き嫌いが分かれるんでしょうけれど、「みんな45分間、優しかったなー」ということは感じました。
またまた個人的な意見ですが〝劇場空間だからこそできること〟。そこは一番興味があったところ。映画やTVドラマではできない舞台の強み。そんな意志が見える「あー敵わないな」という作品には惹かれました。
また来年、ですね。あの手この手で、もっともっと驚かせてほしい。1年後を楽しみに待ちたいと思います。
鈴木聡ラッパ屋
「黄金のコメディフェスティバル2014」。第一回目の昨年より、さらに盛り上がりました。参加チームの皆さん、スタッフの皆さん、観客の皆さん、審査員の皆さん、劇場の皆さん、関わってくれたすべての方々に感謝します。
参加チームの皆さんは、制約された時間の中で、それぞれが考えるコメディを、それぞれのカラーを打ち出しながら見せてくれました。巧みな脚本とチームワークで客席を沸かせた「アガリスクエンターテイメント」。俳優陣の力量とドラマ性が光った「バンタムクラスステージ」。お馬鹿で熱いエネルギーが舞台に溢れた「ゲキバカ」。ユニークな設定をアイデアいっぱいに展開させた「八割世界」。たった二人で可笑しくも詩的な物語を紡いだ「おぼんろ」。中でも、二年連続のグランプリ、そして観客賞などを受賞した「ポップンマッシュルームチキン野郎」は立派でした。すべてに優れた劇団の総合力をまざまざと見せてくれたと思います。おめでとうございます。
若い皆さんのストーリーテリングや笑いを仕組む力は確実に上がっていると思います。今後への期待としては、観客と安心して共有できる「いわゆるコメディらしさ」を超えて、人間という生き物の面白さ・滑稽さに着目した作品ももっと見てみたい、と思いました。
今回からの「高校生審査員」も良かったなあ。観客が票を入れるというシステムや、開会式などを参加チームも一緒につくるというやり方と相まって、「みんなでつくって、みんなで盛り上げる演劇フェス」という個性をいっそう際立たせてくれたと思います。
ともあれ、皆さんのおかげで「大成功」だったと思います。このフェスティバルをきっかけに、新しい絆、新しいムーブメントが生まれることを願います。そんなこと、僕が言わなくてももう生まれてるかな。
おつかれさまでした。ありがとう。来年また会いましょう。
西田シャトナー劇作家・演出家
とても熱く盛り上がったフェスティバルでした。各団体それぞれの作品も熱く楽しかったのですが、その上、フェスティバルという全体そのものが熱気に満ちていました。上演期間全てが、一つの大きな物語だったように感じています。イメージガールとしてライブを行った「38mmなぐりーず」の各劇団に対する全力の応援ぶりや、観客の楽しそうな姿、そして各団体が、互いの作品を観劇して応援し合っていた姿が、強く心に残っています。
『殿はいつも殿』(ポップンマッシュルームチキン野郎)には、大量かつ独創的かつ質の高い笑いが散りばめられ、さらに物語としても演劇作品としても独創的でした。俳優たちの演技にも、劇団そのものにも、勢いがありました。なんとしても観客を幸福にしたいという気迫と愛に満ち、そして実際、幸福と安心と希望を与えるものでした。素晴らしいと思います。
『出会わなければよかったふたり』(アガリスクエンターテイメント)は、刹那的な滑稽さを一切排し、物語によって観客を笑わせました。それは並大抵のことではありません。コメディの定義をまっすぐに守る、とても頼もしい若者たちでした。
『シャンタンスープ』(バンタムクラスステージ)は、「コメディビジネスに生きる人々を題材にしたハードボイルドストーリー」という、一風変わった切り口の作品でした。劇中のコメディ作品の数々が異様なまでのクオリティに達しており、なおかつ物語階層の演技演出にも完全に隙がないという、圧倒的な力を見せつけました。
『ゲキバカディスティニーランド』(ゲキバカ)は、お洒落さや流行や演出的ギミックをあえて取り入れず、ひたすらに演技の熱量と気迫でここまで人の心を揺さぶることができるという、演劇の力強さが輝いた作品でした。劇馬鹿の名を体現していると思います。
『U&D&O』(おぼんろ)は、わずか二人の出演者でミミズから神まで演じるという、最小から最大の全てに挑む作品でした。舞台で描かれる世界も、土の中から天空にまでおよび、また、悲劇を笑いに昇華させてゆくというコンセプトも素晴らしく、コメディの力を拡張することが、観客の世界を拡張することと相似していました。
『ハッピーちゃん』(8割世界)は、高密度の演技がまるで花火のようにめまぐるしく炸裂する、フェスティバルそのものを体現するような華やかな作品でした。実際、8割世界のメンバーたちは、開会式から閉会式まで、フェスティバル全体を盛り上げる立役者となり活躍しました。
小劇場演劇は、演劇にとって、原始の海であると感じています。ここから、新しい生命が誕生し、空や砂漠へと旅立って行くのです。さまざまなリスクを越え、このようなフェスティバルを企画し実現した制作陣や、6劇団全ての作品を支えた現場スタッフを、心から賞賛したく思います。
吉田祥二カンフェティ編集長・ロングランプランニング株式会社取締役
10日間にわたって上演された6作品のクオリティーや熱量もさることながら、開会式・表彰式ともにこれまでに経験したことがないくらいの熱気と盛り上がりで、本当に大成功のフェスティバルだったと思います。
同じ舞台セット、上演時間、そして「コメディ」という共通テーマ――
当初は、似たような作品が幾つか出るのでは? と懸念していましたが、そんな予想は杞憂に過ぎず、6団体どの作品もそれぞれの手法・持ち味を活かした素敵な作品ばかりでした。
反面、審査するという点では本当に悩みました。
これだけバラエティーに富んだ6作品をどんな基準・尺度で審査すればよいのか?
おそらく、その基準点をどこに置くかによって結果や順位が大きく異なる、そんなフェスだったと思います。
私が今回、強く意識した審査基準は2つでした。
一つは「今後の期待度」。安定感や完成度よりも、今後“化ける”可能性がどのくらいあるのか?小さくまとまるのではなく、この演劇界に一大旋風を巻き起こすような勢いや志を持っているのは果たしてどの団体なのか?
もう一つは「オリジナル度」。どこにも似ていない、この団体でしか観れない“何か”を一番持っているのはどの団体なのか?
近い将来、このコメフェスから超人気劇団が輩出され、延いてはこのコメフェスが超人気劇団への“登竜門”的な確固たる地位を築くというストーリーを考えた時、もちろん「コメディ」という前提基準はありながらも、「6団体の中から頂点を選ぶ」というよりは「この世の中に存在するすべての劇団の中から頂点を選ぶ」。その為にはこの2つが最も大事な要素だと思ったからです。
そして今回、私の中で最も点数が高かったのは、ポップンマッシュルームチキン野郎でした。
表彰式の後、打ち上げで色々な関係者の方々とお話する中で、「これからのコメフェス」についての展望や企画的な話が多く交わされ、コメフェスに対する皆さんの熱い想いを感じることができ、改めてこのフェスに関わらせていただいていることを感謝しました。
来年の「黄金のコメディフェスティバル2015」はさらにパワーアップしたフェスになることは間違いありません。
カンフェティもその一助として、今後も惜しみなく協力をしていきたいと思っています。
遠藤 隆之介日本コメディ協会 会長
皆さま、こんにちは。
日本コメディ協会の遠藤と申します。
「黄金のコメディフェスティバル2014」が、大盛況のうちに閉幕を迎えた事、心よりお喜び申し上げます。
参加した6団体の作品は、どれもそれぞれに魅力的で、審査用紙の前で何時間もうなっていた事が思い出されます。
本編の魅力はもちろんの事、大変な盛り上がりを見せた開会式と閉会式、客席やロビーで作品について熱心に語り合う観客の方々など、まさにフェスティバル(祭り)と呼ぶにふさわしいイベントを体験する事ができ、非常に幸せを感じております。
自分の所属する日本「コメディ」協会、そして今回の黄金の「コメディ」フェスティバル。
「コメディ」という言葉を組織や企画に銘打った時、必ずつきまとってくるのが「何をもってコメディと言うのか」という問いかけです。
個人的見解を述べるのであれば、コメディとは「間口の広いもの」でなければいけないと考えています。
年齢、性別、国籍、政治や宗教、そして様々な人生経験によって、面白さの感じ方は違ってきますし、それは人の数だけ笑いの好みがあるとも言えます。
もちろん、その中で最大多数の人が最大限笑うものを探求していく事が大切だと思いますし、実際グランプリ、準グランプリは、コメディをたゆまなく追求してきた団体が受賞しました。
しかし一方で、たった一人の泣いている子どもを笑わせる時、そこにも確かに「コメディ」は存在すると思うのです。
最初にも書きましたが、今回の企画は「フェスティバル」つまりは「お祭り」です。
いくら好物でも、出店が全てりんご飴では、楽しめません。
お好み焼きがあり、わたあめがあり、金魚すくいがあってこそのお祭りです。
そういった意味で、今回は様々な出店を楽しめたと思います。
好きなもの、信じるものへのこだわりが強いと、どうしても視野が狭くなってしまう事があります。
愛と執着は表裏一体ですから。
自分が楽しめないものを他の人が楽しんでいた時、即座に否定するのではなく、その楽しみ方を理解しようとすることは、決して無駄ではないはずです。
俯瞰の視点を持って、あらゆるものから楽しみを汲み取ることができた時、今までとは違った世界が開けるかもしれません。
黄金のコメディフェスティバルは、関係者、観客を問わず、今までとは違う様々な世界にふれることができる場を提供した、非常に意義のある企画といえるでしょう。
来年以降、更なる飛躍を遂げるであろうこの催しを、心から応援していきたいと思います。
岩井美菜子高校生審査員
今回、高校生審査員としてコメディフェスティバル2014に参加できて、本当によかったです。
お芝居をただ見るだけでなく、審査をするという、この貴重な経験は、わたしにとって大きな財産になったと思います。
6団体の本気の作品を見て、頑張っている運営スタッフを見て、また、各界からでている素敵な審査員の方々を見て、沢山の刺激を受けました。
また、作品を通じて「コメディ」というものが何なのか、改めて考えることができました。
来年の開催も決定されているということですが、これから何年も続いていってほしいと願っています。
小倉彩夏高校生審査員
私は6団体を1日にいっきに通して観させていただいたのですが、本当にコメディといってもどの劇団も全然違う魅力をもっていて驚きでした!
こんな私が審査員なんてものをやらせていただきましたが、こちらがありがたいことばかりで…。うち5団体は初めて観させていただいたんですけど、本公演も観てみたいな!と思ったり、まだまだ自分の知らない面白い演劇がたくさんあるのだと思うとさらに演劇が好きになりましたー!
開会式から閉会式まで、本当に楽しませていただきました。ありがとうございました!来年も楽しみにしています!!!
中原源美高校生審査員
「高校生審査員…」
そう呟いて私は募集欄を見た。それから一ヶ月。開会式を前に最高にワクワクしている自分がいた。
中学一年生からずっと演劇部に所属している私は、高校に上がって観劇をしに行くことが格段に増えた。そして多くの観劇の機会を通して、どうやら自分はコメディが好きだと気づき始めたのである。もちろんコメディ以外も好きだ。シリアスな展開も、ホラーなオチもグッと引き込まれて離さない魅力がある。でもコメディはそれらに勝るとも劣らない魅力があると思う。舞台上で生み出される、役者の一人一人の内側から湧き上がるようなエネルギー。そしてそれを受けて返ってくる観客の笑い声。舞台ならではの良さの一つである「会場が一体となる感覚」が、より顕著に表れるのがコメディなのではないかと生意気ながらに思う。
そんな大好きなコメディが素敵過ぎる6劇団によってお祭りになるという。このお祭りの開会式にワクワクしないはずがないのだ。会場に一歩足を踏み入れてすぐに感じた想像していた以上の熱量。その場にいた人全員が発熱している。そして思った。
「これは大変なことになる」
その予感は当然のごとく的中して、それからの6劇団の観劇はちょっと自分でもびっくりするくらいにあっという間だった。終わってから少しさみしく感じたくらいである。でも、どの劇団もその一瞬一瞬が強く刻みついて今でも何度でも引き戻される。本当に「魅了される」とはこういうことを言うのかもしれない。一瞬にして、濃密過ぎる時間。自分の中で感じた躍動、湧き上がる感情、押し寄せる感動。どこから何をどう伝えたらいいのかわからない。こんなとき自分の言葉が薄っぺらく感じられて、無力さに驚く。でもただ一つ言えるのはそこには私の心を全力揺さぶる何かが確実にあったということだ。思えば、全身で笑っていたと思う。全身で笑うという表現はおかしいかもしれないが、そうとしか言いようがないようなエネルギーが、そこにはあった。そんな環境に身を置かせていただいて、この機会をくれた関係者の方々に心からお礼を言いたい。
「高校生審査員…」
もう一度呟いてみる。この経験から私は何を学べただろう。少なくとも、笑うことのエネルギーの強さを感じたことは確かだ。黄金のコメディフェスティバル。貴重過ぎたあの時間は、何度でも輝き私を連れ戻す。それはきっとこれからも続くのだろう、夢のように──。
西村亮佑高校生審査員
グー、チョキ、パーチーム(各チーム2団体)合わせて6団体が、タイプは異なれどもエッジの利きまくったものを観(魅)せてくる。これらを審査すると言ったって、グーとチョキとパーが一度に出たら結果はあいこだ。どのチームが一番だなんて決められない。しかし、一団体を選ばなければならない。「これが審査員の醍醐味ってやつか!」と幸福な苦悩を経験させてもらった。
総評っていうと、どうしても偉そうになってしまう…困った。高校生が偉そうに書いてどうするんだって話だ。なので、ここからは総評と称すには不適当な、自分のことを書かせてもらう。
今まで演劇部として活動してきた自分は常に大人に審査される側だった。それが今回、初めて審査する側に立たせてもらったことで、じっくり劇を観ることができ、そして笑い一つをとるためにも様々な仕掛けがあるのだと気付かされた。そして、一括りにコメディと言っても途方もなく奥深いものだと教えてもらった。他にも、身体表現の無限さ、想像力の神秘、空間演出の美しさetc…と多くのことを学ばせてもらったが、改めてコメフェスを振り返って「やっぱり自分はコメディが好き」と再確認できたことが自分にとって何よりもの収穫だったとおもう。
来年は高校生ではないので高校生審査員をすることは叶わないが、一観客として必ず観たい。そして、ゆくゆくはコメフェスの舞台に立てるようこれからも演劇を続けていきたい。
高校生審査員としてこのコメフェスに携われたことで幸せな11日間を過ごせました。ありがとうございました!